相続とは?
亡くなった人の財産が他の人に引き継がれることを「相続」といいます。
相続されるのは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではありません。
借金などのマイナスの財産も引き継がれます。
賃貸人や賃借人の地位などの一定の地位も引き継がれます。
相続は遺言書の有無の確認から始まる
- 遺言による相続
遺言で指定された人が指定された財産を引き継ぎます - 法定相続
法律の定める相続人が、法律の定めにより財産を分けて引き継ぎます - 遺産分割
法定相続人が具体的に財産を分ける手続きです
遺言書の意義
人は誰でも自分自身の意思のみに基づいて財産を処分でき、他人には強制されることがないという原則があります。
しかし、それは人が生存している間だけの話であって、いかに財産があろうとも死んでしまってからでは処分できません。
そこで、相続という法定財産制度により、亡くなった人の遺志に関係なく、法定相続分に応じて分割することになります。
それでも、相続人資格を有する者の中に、親身に世話をしてくれた、財産の形成に大いに貢献してくれた者もいれば、財産を目当てに放蕩三昧を繰り返す者や、親の資力により、学資や生計の援助を受けた子と全く受け取っていない子など、親としては平等にしてやりたいと思うこともあるでしょう。
生前に、特定の財産を特定の人に贈与しておく方法も考えられますが、贈与制度においては、高額の贈与税の負担がのしかかることになりますし、財産を贈与してしまった場合には、その後の自分の生活に不安を感じることもあるでしょう。
そこで、自分の死後、自分の財産をどのように処分するか(誰にどのような財産を与えるか)を明確にしておく必要が生じてきます。
そして、生前に明確にされた亡くなった者の遺志を最大限 に尊重し、その遺志を実現するための制度が遺言制度です。
遺言書のメリット
遺言は、法定相続より優先して実現されることになります。
よって、遺産分割のトラブルを最小限に防止でき、自分の意思が優先されます!
- 相続人間の遺産分割協議書を待たずに遺言の内容を実現することができる。
- 特定の財産の権利を与えられた者は、単独で名義変更手続きができる。
- 相続人らが、相続人資格者や遺産を調査する手間が省ける。
- 遺産争いが回避できる。
- 遺言書を作成することによって安心することができる他、家族や周りの人達との関係を振り返ることができる。
あなたの大事な人を守るための遺言書 ~最後で最大の贈り物~
遺言書は、残された人への思いやりとなることもあります 。
遺言書で、相続に対する思いや家族への感謝の言葉を遺すこともできます。
遺言書の種類
自筆証書遺言 | 公正証書遺言書 | 秘密証書遺言書 | |
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作成方法 | 自筆で書面作成 日付・署名・押印必要 | 公証人が遺言書の口述を筆記 遺言者と証人2人以上が内容を確認 遺言者と証人2人以上が署名押印 ※遺言者は実印、証人は認印 | 書面作成 ※自筆でなくても可 |
費 用 | 不 要 | 公証人の作成手数料 | 公証人の手数料 |
証 人 | 不 要 | 2人以上の証人 | 2人以上の証人 |
保管方法 | 任 意 | 公正証書として公証役場で保管 | 任 意 |
検認手続 | 必 要 | 不 要 | 必 要 |
公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
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公正証書遺言 | ○方式の不備で無効となる恐れがない ○内容の実現の確実性がある ○紛失や改ざんの恐れがない ○遺言能力等での争いが避けられる ○家庭裁判所での検認が不要 | ○公証人への依頼に手間がかかる ○証人を確保しなければならない ○費用がかかる ○公証人と証人に内容を知られる |
自筆証書遺言 | ○自分一人で簡単に作成できる ○費用がかからない ○内容の書き替えが簡単にできる ○遺言書の存在と内容を秘密にできる | ○方式の不備で無効となる恐れがある ○内容の解釈が問題となる恐れがある ○紛失は改ざんの恐れがある ○遺言能力等で争われる恐れがある ○家庭裁判所での検認が必要 ○遺言書が発見されない恐れがある |